2009年4月ミラノ

今回はHISのツアー。
本当は自分の好きに観光したかったが、ツアーの方が格段に安いのでツアーを選択した。
2月に申し込んだ時点では19万円台だったのが、3月10日頃連絡があり、13万円台に値下がりしたとのこと。
燃油サーチャージ込み、往復航空運賃、宿泊費、11食、移動のバス、添乗員つきでこの値段というのは信じられない。
一体どうなっているのか?
燃油サーチャージは4月からかなり安くなったとのことで、その影響もあるだろう。

フィンランド航空成田空港11時発の飛行機でヘルシンキへ。
ヘルシンキ到着は15時20分。
日本とフィンランドの時差は6時間、フィンランドとイタリアの時差は1時間。
ヨーロッパは3月の最終日曜日からサマータイムに入っている。
ヘルシンキの空港周辺には雪が積もっていた。
写真を撮っていたら呼び出し一歩手前というほどの慌しさで乗り換え。
ヘルシンキからミラノは3時間。
18時5分ミラノ・マルペンサ空港到着。
空港ではツアー客のスーツケースが壊れていて、その申告のためかなり待たされた。

空港からチャーターバスに1時間ほど乗り、アルバヴィラホテルに到着。
コモ湖から10km、ミラノ市内から45kmほどのところにある。
私の身分相応の格安ツアー、その低価格の秘密の一つがホテルだ。
土地の安い郊外にある団体客を多く扱うホテルにツアー客をチャーターバスで連れて行く。
値段は相当安いはずだ。
もう一つは食事。
これも観光地から少し路地を入ったところにある団体客用のレストラン。
メニューは決まっていて、来たらすぐに料理が出てくる。
個人でレストランで食事をすると、時間もかかるし、量は多すぎ、一人最低数千円はする。
ツアーで食事をすれば、格安で、素早く食事することができ、その土地の料理を、前菜、メイン、デザートと味わうことができる。
ただし、前菜はただの生野菜、デザートはただのアイスクリームだったりする。
レストランによっては、一皿目にパスタ、二皿目にメインの肉料理が出てきたりもする。

このアルバヴィラホテルは今回泊まったホテルの中で最も外れだった。
シャワーが固定できず、排水も悪かった。
インターネットは5ユーロ払ったのだが、結局使えなかった。
朝食はパンとコーヒー、紅茶のみでさびしい。
ちなみにこちらのホテルは、基本的にはシャワーのみ、運がよければ浴槽がある。
イタリア人にとってはトイレの次に重要なのはビデで、シャワーはその次だそうだ。

サマータイムのため夜暗くなるのは8時頃だが、その代わり朝は7時頃ようやく明るくなる。
時差の関係で朝5時頃に目が覚めホテル周辺を走ったが、結局最後まで真っ暗だった。
周囲は住宅地で、どちらに走っても坂道だった。

朝食を終えてもまだ日の出前。
アルプスの山々が見える。



バスに乗り込む頃、ようやく日の出。
雲海に包まれたコモ湖とその周辺の町並みが幻想的だ。
コモ湖は細長い湖で、なかなかその全体像がつかめない。



バスから眺めるコモ湖周辺の風景。



コモ湖周辺がかなり渋滞していたため、予定よりも遅れてミラノに到着。
途中心配したガイドから添乗員に電話がかかってきた。

正面に見えるのが、ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」があるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会だ。
「最後の晩餐」をみるためには事前の予約が必要で、その予約を取るのも難しいようだ。
今回は残念ながら見ることはできなかった。



イタリアではその土地のガイドをする資格を持った人でないと観光案内をすることはできない。
資格のない人が案内すると法律で罰せられる。
そのため、添乗員がバスの中では結構詳しく解説してくれるのだが、実際に観光の際には現地のガイドが案内する。
ガイドは証明書を首からぶら下げている。
ミラノのガイドは、レイコさんというミラノ在住?十年という強烈なお姉さん。
「レイコ ミラノ」で検索すると彼女のホームページが出てくる。
強烈といっても、ヨーロッパではそれぐらいでないと生きていけない。
私も留学中は、日本からフランスに向かう飛行機の中で、「何かあったら相手が悪い!何かあったら相手が悪い!」と念じ続け、テンションを高めて向かったものだ。
日本に多いのほほんとした若い女性、あの状態でこちらで生きていくのは困難だろう。
言うべきことははっきりと言う、嫌なことはその場ではっきりと断る、それが基本だ。

短期間で各地を回る盛りだくさんの格安ツアーらしく、スフォルツァ城は正面で写真撮影するのみで中には入らなかった。



バスでミラノ北駅前を通る。
左のオブジェはイタリア人には不評だそうだ。
確かに違和感がある。
レイコさんによると、ミラノの産業である織物を象徴する針と糸を表しているそうだ。



ミラノ・スカラ座は思いのほか質素な外観。
下のダ・ヴィンチ像があるスカラ広場に以前建物があったためだそうだ。
中は豪華だそうだが、今回は入らなかった。

スカラ広場に建つダ・ヴィンチ像。



ヴィットリオ・エマヌエーレ二世のガッレリア。
このヴィットリオ・エマヌエーレ二世は長く群雄割拠状態だったイタリアを統一した王様で、どこに行っても巨大な像があればそれはヴィットリオ・エマヌエーレ二世のものだというほどあちこちにその彫像がある。
1865年から12年の歳月をかけて鉄とガラスによるアーケードを作り、伝統と当時の最新技術が融和した不思議な空間である。
ここではマクドナルドも黒と金でシックに装っている。



上部のフレスコ画。
4枚あり、アメリカ、中国、アフリカ、北ヨーロッパを象徴的に描いているそうだ。



アーケードを抜けると、トゥオーモが現れた。
その巨大さと美しい大理石の色、細かい彫刻に圧倒される。
すぐ後ろに太陽があり、逆光なのが残念。
1386年に着工し、1887年に実に500年もの歳月をかけて完成している。
教会は通常中心部分から作り始め、正面が完成するのは最後だ。
その間礼拝などで使用し、寄付を募りながら建築を進める。



イタリアでは、その街で最も大きい教会をドゥオーモと呼ぶ。
ドゥオーモというのは神の家という意味だそうだ。

教会前のドゥオーモ広場では、警察官が取り締まりを行っていた。
ミモザを人の手首に勝手に巻いて金を要求する連中がたくさんいる。
話しかけてくる連中は全員金目当て、相手にしないこと。
観光客と記念撮影する警察官たち、その同僚に「仕事中だろう。行こうよ。」と言う警察官。

今回の旅で最も感動したのが、このドゥオーモ正面中央の扉。
ポリアーギ作「聖母マリアの生涯」
聖母マリアとキリストの生涯が一枚一枚年代順に並べられている。










内部には巨大な柱に支えられた暗く厳かな空間。




ステンドグラスから差し込む光が神秘的だ。




教会によっては予算の関係で正面だけが豪華で後は質素だったりするが、この教会はどこから見ても細かい彫刻と色鮮やかな大理石が美しい。



昼食は一皿目がリゾット。
イタリア人は芯が残ったものを好むそうだが、日本人には合わないため日本人向けにしてもらっているとレイコさん。
食べてみると、芯のあるものを食べてみたかったなという感じがした。
味の濃さ、強めの塩加減に対して柔らかいご飯はバランスが悪い。
途中でようやく、チーズをかけると塩味が緩和されて美味しくなることを発見。
二皿目はミラノ風カツレツ。
薄く切った肉を衣をつけて揚げるのだが、これが美味しい!
衣に何とも言えない味わいがある。
デザートのケーキも美味しかった。

このツアーでは、4つの免税店に行く義務がある。
もちろん買う義務はない。
確かに正規の質の高いものが揃っているが、安いお土産はあまりないので自由時間に別に買う必要がある。
日本人スタッフの揃った免税店、そこに並ぶ豪華なベネチアングラス。
1個数万円ぐらいする。



ミラノからヴェローナへはバスで2時間半。
こちらでは車はエンジンをかけると自動的にライトが点灯するそうだ。
昼間でもライトを点灯した方が事故率が低いという実験結果によるものだそうで、高速道路を走る対向車のほとんどがライトを点けた状態で走っている。

続く。